九州大学大学院 医学研究院 形態機能病理学

DEPARTMENT OF ANATOMIC PATHOLOGY, PATHOLOGCAL SCIENCES, GRADUATE SCHOOL OF MEDICAL SCIENCES, KYUSHU UNIVERSITY

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新専門医研修制度で研修中の若手病理医として。

朝永 匠/平成31年入局(九州大学医学部卒)【2022年インタビュー】

病理医の仕事、百聞は一見に如かず

私が進路を決めたのはやや遅めになりますが初期研修2年目に病理科をローテートしてからでした。それまでは手技に取り組みたいという思いから外科系が良いかなというボヤっとしたイメージでしたが、鏡検業務に加えて検体の切出しという手技を要する業務を実際に経験できたことで意思が固まったように思います。

病理の仕事には様々な魅力がありますが、病理診断の醍醐味は診断の過程にあります。診断には、多数の鑑別診断から正診を選び取るために常に何が重要かと思考を巡らせて総合判断を下す面白さがあります。診断がそのまま患者さんの治療方針に直結するというのも一検査の枠を超えた、重責とともにやりがいを感じるところです。 余談ですが病院からの呼び出しがほとんどないことで医師としては珍しくオンオフのあるバランスの取れた生活を営めるというのも病理医の大きな魅力ですね。

病理専門医取得に向けて

2015年から新研修制度が始まり、私もその研修制度で専門医研修をしています。新研修制度では、後期研修3年の後、最短4年目には専門医試験を受験可能ですが、一定期間、大学以外の施設での研修が研修要件となっています。私は後期研修の最初の2年間を飯塚病院の病理科で研鑽しました。飯塚病院は組織診断件数が年間1万件前後と非常に多く、多彩な症例が経験できる施設で、忙しくも非常に充実した日々を送ることができました。

後期研修は上司の先生に導いてもらいながら診断に関する理解を深める得難い機会であり、最終診断者(その症例における診断の責任者)となるための重要な準備期間です。多様な疾患に触れることはそのまま専門医試験の対策にもなりますし、書籍を読んでいるだけでは掴みづらい内容も実際に診断に向き合うとすんなり理解できるというのを実感する2年間でした。

また、病理専門医には病理解剖の主執刀経験というのが受験資格の要件であり、全国的に剖検数が減少している現在、これが受験資格のボトルネックになります。コロナ禍も重なり受験資格要件の修正(2023年度からは計24症例)がありましたが、研修期間中は概ね年間10症例弱の執刀経験というのが今後の病理専攻医の研修中の目標になりそうです。私もようやく受験資格に到達しましたので来年度の受験を見据えています。

最後に

病理の道へ進むにあたって「臨床を経験してからでも遅くはない」というお話があります。一理ありますが、初期研修の制度が始まってからはややその意義も薄れてきたように感じています。私も初期研修後は未練なく病理の道を選択し、現在まで後悔はありません。

一度病理の仕事に触れるとさらに魅力が発見できるのではないかと思います。興味のある方はぜひ当教室の見学をご検討ください。