九州大学大学院 医学研究院 形態機能病理学

DEPARTMENT OF ANATOMIC PATHOLOGY, PATHOLOGCAL SCIENCES, GRADUATE SCHOOL OF MEDICAL SCIENCES, KYUSHU UNIVERSITY

ホーム進学をご検討の方へ進学をご検討の方へインタビュー03:チーム医療の一員として、「診断」を専門に担うスペシャリストへ。

チーム医療の一員として、「診断」を専門に担うスペシャリストへ。

山元 英崇/平成11年入局(九州大学医学部卒)【2016年インタビュー】

臨床の現場からパートナーして頼られる充実感

診療というのはその文字通り、「診断をした上で治療をおこなう」という意味です。つまり、「正しい診断」ができていなければ、的確な治療をおこなうことはできません。そして、その診断を専門的におこなうのが、私たち病理医なのです。そのため、臨床の現場で活躍されている先生方からパートナーとして頼られ、おたがいにディスカッションを重ねながら最善の治療へと導いていくことこそが、この仕事ならではの醍醐味だと言えるでしょう。

実際に、私たちが検査をおこなった結果、臨床医が想定すらしていなかった病気が発覚する場合もあります。こうしたケースでは、自分たちが手掛ける仕事の意義を改めて実感することができますね。

未知の腫瘍の正体を解明することで「正しい治療」を導き出す喜び

これまでの仕事でいちばん印象に残っているのは、まるで見たことがない腫瘍が私のところに持ち込まれた時のこと。

はじめは得体のしれない病変でしたが、細胞の形が似た別の腫瘍と比較しつつ、丹念に解析していった結果、ある腫瘍と同じ遺伝子異常が起こっていることを突き止めることができました。遺伝子の異常がどういうものであるかが分かれば、その腫瘍に効果がある抗がん剤も判断することができます。原因が分からなければ余命2〜3年だと言われていた患者さんでしたが、私たちが出した診断結果によって、10年以上生存されています。これは、「正しい診断」こそが「正しい治療」を導き、患者さんに貢献することができるという、もっとも分かりやすい例のひとつだと思います。

病理医は「細胞の形」から、がん細胞の正体に迫り、治療方針の決定をたすける「臨床医」でもあるのです。

医療に従事する限り、どこに行ってもかならず役に立つ分野

最善の医療を実践するためには、このように「正しい診断」をすることがまず必要となることは間違いありません。そのため、将来的にどんなキャリアを送るとしても、まずはこの病理学の分野に足を踏み入れ、その専門性を身につけることは決して遠回りにはならないでしょう。

正直に言うと、じつは私も「損はないだろうからまずはやってみて、面白くなければ別の分野に行けばいい」という程度に最初は考えていたんです。ただ、私の場合は始めてみたら面白くて、気づけばアッという間に16年もの年月が経っていたというだけで(笑)。

もしも進路に迷っている方がいれば、まず一度は話だけでも聞きにきてください。その上で「やってみたい!」と興味を持っていただけたなら、私たちは全力を上げて育てますよ。