九州大学大学院 医学研究院 形態機能病理学

DEPARTMENT OF ANATOMIC PATHOLOGY, PATHOLOGCAL SCIENCES, GRADUATE SCHOOL OF MEDICAL SCIENCES, KYUSHU UNIVERSITY

ホーム研究・業績骨軟部腫瘍に関する研究

軟部腫瘍の研究

骨軟部グループ

2015年11月30日公開 2026年1月31日更新

はじめに

骨軟部グループでは骨軟部腫瘍、とりわけ軟部腫瘍の診断病理に関する研究を重点的に行っています。我々は、国内最大規模の骨軟部腫瘍診断数を誇り、それらをもとに病理診断および臨床に還元できるデータの抽出を目指して研究を進めています。

軟部組織とは骨、皮膚や消化管などの上皮に覆われた組織、細網内皮系組織および神経膠組織を除いた支持組織の総称です。つまり、脂肪、筋肉、血管などたくさんの種類の組織を含んでいます。そのため、軟部組織に発生する悪性腫瘍「軟部肉腫」は極めて種類が多く、悪性度も腫瘍の種類によって様々です。腫瘍の種類によって治療やその後の経過が異なりますので、病理医が正確に診断することが大変重要です。しかし、同じ種類の腫瘍でも組織のパターンが非常に多いため、普通の病院では診断に困ることが多いのが実情です。珍しい腫瘍ですので、普通の病院ではたまにしか出会うことがなく、病理医も経験不足になりがちなのです。

近年、腫瘍の遺伝子異常を調べる研究が盛んになっており、多くの軟部腫瘍においても遺伝子異常が発見されています。その遺伝子異常を検出することが診断に役立ちますし、治療に影響することもあります。私たちはこの遺伝子異常を研究し、正確な診断と正しい治療が行えるよう、日々、実験とデータの抽出に勤めています。

肉腫の免疫微小環境の解明

腫瘍の中には、腫瘍細胞と周囲の血管や間質細胞、神経線維、免疫細胞などの正常細胞が混在し、それぞれが相互作用することで、腫瘍全体の性質が規定されます。近年、この腫瘍微小環境を標的とした免疫治療が開発されつつあります。しかし、骨軟部腫瘍は、種類も多く、それぞれの微小環境は。未解明です。我々は、未分化多形肉腫、軟部平滑筋肉腫をはじめ、様々な肉腫の免疫微小環境を解析し、新規治療標的の探索を行っています。

新規概念の提唱

軟部腫瘍の診断基準は、従来、細胞の形に基づいて、どのような性質に分化しているのかという点を重視した診断がなされていました。しかし、近年は遺伝子解析技術の発展により、遺伝子異常と形態、細胞分化の性質を統合的に行い診断が行われるようになってきました。
しかし、従来の疾患概念にあてはまらない腫瘍や、同じ診断名の患者さんの中に大きく予後が異なるものが存在することがあります。そのような非典型例を集積し、詳細な形態比較、分子マーカー探索を行い、診療や治療に直結しうる新規疾患概念の確立およびその診断マーカーの定義を行い発信しています。

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