九州大学大学院 医学研究院 形態機能病理学

DEPARTMENT OF ANATOMIC PATHOLOGY, PATHOLOGCAL SCIENCES, GRADUATE SCHOOL OF MEDICAL SCIENCES, KYUSHU UNIVERSITY

教授挨拶

小田 義直 Yoshinao Oda
  • 九州大学形態機能病理教授
  • 九州大学病院病理診断科・病理部部長

九州大学形態機能病理学教室(旧第二病理)は伝統ある教室です。1908年に初代教授として房室結節(田原結節)の発見で知られる田原淳先生が就任され、第4代教授には日本の外科病理の祖と呼ばれる遠城寺宗知先生を迎え、診断学と基礎研究を両輪の輪として現在に至るまで日々研鑚を積んでいます。

教室の信条は、診断と研究の両立です。病理学は臨床医学と基礎医学の架け橋となる学問として両者の面を併せ持っています。

臨床医学としての病理学について言うと、病理診断がその後の治療方針決定の上で重要な役割を担っており、特に腫瘍の分野で顕著です。そのため病理医はDoctor’s Doctorとも呼ばれています。当教室では九州大学病院病理診断科・病理部の病理医として研鑚を積むことになりますが、九州大学病院では、1年間に約16000件の病理組織診断、約18000件の細胞診断、1000件を超える術中迅速診断、約90例の病理解剖を行っており、経験できる症例は量・質ともに充実しています。また、教室として全国から各分野の病理診断コンサルテーションを多数受け付けており、より難解な症例に対するアプローチを学ぶ貴重な機会を数多く得られます。多くの経験を積むことは、正確な診断技術を含めた病理診断医自身のレベルアップに欠かせません。その意味で、当教室は病理医の研修の場として最適と考えています。さらに、連携病院として北部九州の基幹病院の病理診断科での研修も可能です。

基礎医学としては、当教室は組織形態やタンパク発現の局在を解析することにより新たな疾患概念や治療標的をこれまでに提唱してきましたが、近年の臨床医からの要望により、遺伝子解析などの分子生物学的手法を融合させた先進的な研究を推進しています。当教室に所属する医師や大学院生たちは、熟練した各疾患領域専門の病理医の下、私の専門である骨軟部腫瘍のみならず、消化管腫瘍、肝・胆・膵腫瘍、小児腫瘍、婦人科腫瘍、泌尿器腫瘍、頭頚部腫瘍に関する研究を行っておりますが、病理学以外の分野から病理組織学的知見を求められることも多いため、教室内の研究に加え共同研究にも多数参加しています。今後も医学の更なる発展のために病理学の枠を越えて様々な医学分野との連携を行い、より臨床的意義の深い、あるいはより基礎医学の真理に迫る研究を行っていくことを目指しています。

病理医を目指している医学部学生・研修医の皆さん、あるいは大学院生として病理の研究をしたいと思っている医師の皆さんは是非、当教室に声をおかけください。情熱のある皆さんを、当教室は歓迎いたします。